デベロップメントサイクル (補足)

2017/04/27

投入からおよそ7分で、豆の表面温度が167℃に至るペースで焙煎を進行させ、11分で豆の表面温度が192℃前後に至って終了すれば、浅煎りの焙煎が完了します。

以後、1分後の12分には197℃前後、2分後の13分には202℃前後、といったように1分に5℃上昇させていけば、適正な成分進化・デベロップメントが達成されます。

、、、、、たった4行の文章にすぎませんが、これはまさに短時間焙煎の核心を語っています。

しかし、賢明なる読者なら、釜の内部温度については一切触れていないことにお気づきと思います。

具体的な焙煎作業は、上記の豆の表面温度の進行を達成するためには、どう釜の内部温度をコントロールするかです。

釜の余熱・投入温度・釜の内部温度のボトム・そして釜の内部温度の推移を操作しながら、上記の豆の表面温度の進行を適正にコントロールするわけですが、これには千差万別の方法があることはお解かりいただけると思います。

Photo
このブログでは最初に、一般に普及している高温短時間焙煎を示し、その次に低温短時間焙煎を示しました。

両者は上記の豆の表面温度の展開は同一ですが、釜の内部温度のコントロールは大きく違っていました。

(プロファイルの赤と青の点線をご覧ください)

高温短時間焙煎は投入から絶えず釜の内部温度を引き上げながら、その勢いで豆の表面温度を引き上げていき、後半は釜の内部温度を押さえながら、豆の表面温度の進行をコントロールします。

後半の成分進化の段階では、釜の内部温度が十分に上昇(200℃以上)しているため、豆の表面温度が急激に進行しやすいからです。

低温短時間焙煎は高い投入温度で投入して、釜の内部温度のボトムを高くして、その分内部温度を低めに、かつ一定にして豆の表面温度を引き上げていきます。

そのため豆の表面温度は水抜き中盤から徐々に上昇ペースを落としていきます。

やがて、投入から7分で、豆の表面温度が167度に至りますが、ここで注意が必要なのは、まだこの段階では水は抜けていないことと、この時点で、後半の成分進化のペースを検証するために、ストップウォッチでカウントします。

高温にしろ低温にしろ、短時間焙煎の成分進化の法則は、デベロップメントの実相で示しましたように、投入から釜出しまでの時間がきっちりと決まっているので、あえて後半からカウントしても意味がないように思いますが、成分進化の微妙な変化を探ることによって、その実相を理解することが出来ます。

(高温短時間焙煎の場合も、7分で豆の表面温度が167度に至っていますが、改めてカウントはしません。そもそも焙煎工程をはっきりと分けているわけではなく、投入からのカウントで成分進化の検証をしているからです。そして、このことが高温短時間焙煎の欠点の原因であるわけです。)

引き続き、釜の内部温度を180度前後に維持したまま、水抜けを注意深く探っていきます。

そして、カウントから1分40秒~50秒(投入から8分40秒~50秒)ころに至ると、豆がシュリンクして、水抜けが確認できます。すかさづ火力を全開にして、釜の内部温度を引き上げます。

(高温短時間焙煎の場合は、このように厳密に水抜けを把握していませんが、7分で豆の表面温度を167度に至らせ、8分、9分、10分、と豆の表面温度の上昇ペースをコントロールしながら、11分で豆の表面温度が191度前後に至らせて、浅煎りを完成させます。)

このタイミングを逃して後手にまわったら、成分の発達が不十分で、印象の薄いカップになります。

具体的には、およそ投入から8分50秒前後以降からの引き上げは、成分進化の遅れの原因になります。

これはカッピングと後半からのカウントで初めて解明できたことです。

以前、投入から6分で豆の表面温度が167℃に至るペースで検証していましたが、クリーンカップに欠けるため、水抜けの問題と判断して、1分延長して7分で167℃に至るペースにしました。

前半だけの延長で、後半の成分進化の段階はそのままですから、トータルの焙煎時間は1分伸びるだけです。(後半からのカウントを6分から7分にして、釜出しは浅煎りでトータル10分から11分になります。)

カップはクリーンカップになりましたが、まだスイーツやフレバーのボリュームが足らない印象でした。

1分の延長で、水抜けが良くなったことは明白ですから、延長前の6分では水が抜けきっていなくて、芯に残っていたと判断できます。

水抜けの判断も、6分の場合は8分前後(カウントから2分)で水抜けでしたから、7分の場合は9分前後を注意して探っていましたが、速いものでは8分30~40秒でシュリンクして、45秒前後に水抜けが確認できました。

最初は半信半疑で、定番どうり9分で引き上げていたのですが、1分延長は水抜けがそのまま1分延長するのではなく、少し早い段階で水抜けが出来てくるようです。

「もしかしたら!!」と直感して、8分45秒で釜の内部温度をすぐに上げて検証しました。

不足していたスイーツやフレバーのボリュームが増し、詳細なテロワールも確認できるようになりました。特にマウスフィールの領域において、その特性のオイリー・ミルキー・シルキー、、、といった感触の差が確認できるレベルになり、衝撃的なカップになりました。

クリーンカップはそのままですので、きらきらと輝くカップに、印象的な風味特性やその余韻を感じながら、アフターは心地よくフィニッシュします。

この9分と8分45秒の劇的な差はなぜなのか?は火力を上げてからの、釜の内部温度の推移が大きく作用しています。

このあたりが低温焙煎の火力を引き上げて、なおかつ成分進化が後手にまわらないピンポイントがありそうです。

7分で後半をカウントして、11分の釜出しということ、そしてその間の4分内に、豆の表面温度の上昇は167℃から191~192℃に上昇しなければなりませんが、水が抜けてから火力を上げられる、、、という制約がついています。

この制約は低温焙煎の宿命で、水が抜けなければ釜の内部温度は引き上げられないというカップの検証からの命題があるからです。

7分でカウントして火力を上げて、4分後に167℃から192℃に25℃上昇させるのは通常の焙煎機でも可能です。

これはちょうど、投入温度が高すぎたため、内部温度を抑え気味にして、豆の表面温度の進行をコントロールしながら、途中から後手に回るのを避けるために、釜の内部温度をあげていく、高温短時間焙煎と同じです。

投入から7分で167度の時点ではまだ水が抜けていないため、この時点から内部温度を上げていくと、雑味のある飲みにくいカップになります。

7分からのカウントはデベロップメントサイクルを確認するためにカウントをするだけで、水抜けとはなんら関係ありません。

さて、話を先に戻しますと、7分のカウントから注意深く水抜けを観察して、9分で内部温度を引き上げと、8分45秒で引き上げの内部温度の推移を比較してみます。







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