ライトロースト(浅煎り)の焙煎
2019/01/07
今まで、サードウェーブコーヒー@Amazon(当社出店先:筆者注)さんでコスタリカ カンデリージャ “ハニー” ライトロースト 200gというのを購入しておりました〇〇です。おまけで頂いたコーヒーが美味しかったので、こちら(当社HP:筆者注)で注文させて頂きました。
コーヒーは豆の種類というよりはむしろロースト具合の方が気になります。焙煎は浅い方が好きです。豆はあえて言うならグアテマラが好きです。自家焙煎で浅煎りをネットで販売しているお店が少なかったので、サードウェーブコーヒー@Amazonさんを利用させていただいておりました。
なかなか近くに信頼できる自家焙煎のお店がなくて、毎日消費するものなので、Amazonだけでなく、いろいろネット上でも探して、今までも何軒もトライしていたのですが、浅煎りの豆を販売しているところがほとんど無くて、あってもあまり好みではないことが多く、悩んでおりました。
世間はヨーロピアンロースト一辺倒なのかと思ってほとんど諦めておりました。エスプレッソやラテで飲むなら美味しいけど、ストレートでは深煎りはどうも苦手なので、注文した商品が届くのが楽しみです。
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僕のHPにはこのようなコーヒーに関しての様々なご要望やご感想が入ってきます。
この方は浅煎りが好きで、ネットで色々探して、僕のコーヒーを気に入っていただいたわけですが、ご要望の中ではごく少数派です。
ご要望の大半は、浅い焙煎のコーヒーは敬遠され、酸味がなくて、甘くて、苦くない、そして香りがよい、、、といった焙煎がほぼ不可能なもの!(笑)が大半です。
特に、コーヒー好きを自認するほとんどのお客様は、酸味を拒むことが、コーヒー党をアピールする手段であるかのように思い込んでいます。
しかし、コーヒーは果実であり、コーヒーの質を判断するときはまずもって酸の質で判断します。明るくさわやかで、甘さに包まれた酸かどうか?が基本です。深く煎っても明るく爽やかで、後味がすっきりしているかどうかは、酸の質が大きくかかわっています。
我々の努力不足で、まだまだ消費者の皆さんに、スペシャルティコーヒーの素晴らしさが伝わっていないと痛感します。
この原因は巷に美味しい浅煎りのコーヒーが少ないため、ということもありますが、コーヒーのネガティブな酸味で失敗した経験のある方が多いのではないかと思います。
加熱式のサーバーで時間がたってしまったコーヒー・未熟豆が混在したコーヒー・短時間で焙煎した浅煎りのコーヒー・カロリー不足のコーヒー、、、等。
ネガティブな酸の原因は様々ですが、その根源は輸入されている原材料の生豆の大半が未熟豆が多く混在していることと、浅く煎る焙煎技術が不足していることだと思います。
その結果、酸味のあるコーヒーが不味いコーヒーであるかのようになってしまいました。
この現象は僕が80年代にこの業界に入ったころから、なんら少しも変わっていません。
当時は銀座の「カフェドランブル」や、吉祥寺の「もか」が全盛期であり、自家焙煎店が雨後の筍ごとく増えた時代ですが、その主流は深煎りでした。浅煎りのコーヒーは邪道で、まさに深煎りが王道の時代でした。
そして90年代に入り、アメリカのスペシャルティコーヒーが伝播し、スターバックスやピーツが進出しましたが、それらもすべて深煎りでした。
そして、スペシャルティコーヒーが普及した現在にあっても、その傾向がなんら変わらないのは、まだまだスペシャルティの絶対数が足らないのと、浅く煎る焙煎技術を普及させて、それを共有できていないからだと思います。
僕がアメリカのスペシャルティを学んだ頃は、COEがまだ開催されていない時代でしたが、フランスのワインのテイスティングノウハウからフィードバックされた、カッピングスコアーシートも試行錯誤の段階で、細かい改定が頻繁にされていました。
そんな中で、いつも疑問に思っていたのは、カッピングのためのローストは浅いのに、なぜアメリカのスペシャリティの本焙煎は深煎りなのだろう?ということでした。
カッピングにおいては、浅く煎ることによって、素材の質を判断できるわけだから、浅いのであって、飲料としての焙煎は消費者が求めているから、深く煎る、、、ということで勝手に納得していました。
しかし、カッピングスコアーがより精緻になり、フレバーの項目がより具体的に、例えばフルーツなのか、スパイスなのか、ナッツなのか、ということから、フルーツであれば柑橘系?ベリー系?、、、そしてそれがオレンジなのか、レモンなのか、ブルーベリーか、ストロベリーかといった具体的な表記が求められてきます。
そして、酸の質やマウスフィールの具体的な項目が加えられてくれば、もう浅く煎らないと、スペシャリティコーヒの素晴らしさは伝わらないと、だれもが意識し始めたのがこのころです。
ブラジルでコンペティションが開催され、それがカップオブエクセレンス(COE)となって、主な生産国に拡がっていくころから、、、そう丁度セカンドウェーブからサードウェーブの過渡期で、消費国のロースターと産地が一体となって、コーヒーが精緻に研究され始めたころです。
COEで次々に出てくる素晴らしいコーヒーたちに驚嘆しては、この素晴らしさをお客様に伝えてたい!という思いは、「憧れの浅煎り」、、、スペシャルティコーヒーの素晴らしさを表現できる焙煎をどう完成させるか!という悪戦苦闘の始まりでもあったわけです。
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