焙煎の見学会Ⅱ
2020/03/14
3/10と11に中部地方と関東地方の方がそれぞれ、焙煎を見学に来ました。
かたやハンドメイドの焙煎機・かたやプロバットの5k釜といったように焙煎機の違いはありましたが、持ってきていただいた豆のカッピングと焙煎プロファイルの解読から、原因がみえてきました。
お二人とも、僕の短時間焙煎や低温焙煎のプロファイルを熱心に検証していただいていて敬服しましたが、●僕の焙煎プロファイルをトレースしても、上手くできないこと。●特に釜の内部温度と豆の表面温度の乖離があり、特に顕著なのは1ハゼの始まりの豆の表面温度が異常に高いことでした。
釜の内部温度の進行は僕のものとあまり変わりありませんが、それと対峙しての豆の表面温度がどうしても高めになってしまうのは、豆の表面温度の設置位置が原因であることが想像できました。
つまり、正確な豆の表面温度を計測できる位置に、センサーが埋め込まれていないことが原因であり、おそらく豆の密集した設置位置ではなく、釜の内部温度も影響してしまう位置に設置されていることが想像できました。
この場合、焙煎機の排出口を開け、そこにアクリル板を設定して、豆を投入することで、豆が一番密集するところが検知できます。
その密集する位置にセンサーを再度埋め込み、もしシリンダー内部の撹拌羽根に当たってしまうなら、その部分だけカットすることをアドバイスしました。
それがすぐに結果をみたようで、うれしいメールがきました。
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山本様
昨日、温度計位置を修正いたしました。
アクリル板を取り付け、ドラムを回転させて豆の中心になるように温度計センサーを移動させました。
その結果、1ハゼの温度が12℃低くなりました。186℃ぐらいで1ハゼが来ます。
その結果温度と焙煎の進行具合の違和感がなくなりました。
後半部分のトレースもできるのですが、釜の保温力がないので、まだ、タイトな温度調整が必要でおろおろしながらですが、フレーバーのある豆が煎りあがりました。
まだ工夫が必要なようです。
まだ1回ですが、煎りあがった豆が、劇的に変化しました。とてもびっくりしています。
教えていただいたカッピングと焙煎を繰り返し、もっとおいしいコーヒーを目指して追い込んでいきたいと思います。
山本様には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
今後とも。ご指導、ご鞭撻をお願いいたします。
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短時間焙煎にしろ低温焙煎にしろ、僕が公開した焙煎プロファイルを何度もトレースしても、少しもうまくいかない、かえって混乱してしまった。といったメールを多くいただいています。
その原因の大半は、豆の表面温度を計測する温度センサーが正しく設置されていないからです。
特にメーカーがオプションとして設置してくる、豆の表面温度計の設置位置は出鱈目で、焙煎機メーカーがいかに焙煎ノウハウの構築をサボっているか分かります。
豆の表面温度計センサーは、焙煎機内部の豆が一番集中する箇所に設置することが必須ですが、多くの場合、メーカーが設置している位置はほぼ、焙煎正面のシリンダー軸受けのベアリング付近です。
これは、センサーをシリンダー本体の中に差し込むことは、シリンダー内の撹拌用の羽に当たって厄介なことになるので、それを避けるために、便宜的に差し障りのないところに設置したにすぎません。
この軸受け付近に設置されたセンサーの位置はとんでもない位置で、豆の表面温度の計測どころか、その時の釜の内部温度と豆の表面温度との合作で、投入量や火力の上げ下げの局面で、ガラガラと変化します。
投入された豆は一旦底の方に落ちて、撹拌用の羽で投入部の方に引き上げられて、そこから再び底の方に落ちてきます。その時の投入量によって、センサーにパラパラと当たる場合や、センサー自体が埋まる場合など様々ですが、仮にセンサーが埋まる投入量であっても、豆の密集度が薄く、上部の排気される釜の内部温度の影響を受けます。
つまり焙煎の基本である、豆の表面温度の進行管理圧がまったく出来ないということです。釜の内部温度の影響を受けない、隔離された場所で正確な豆の表面温度の計測が必須なのです。
僕自身も、従来の軸受けサイドから、シリンダー下部の排出口の内壁部に豆が一番集中するところに設置することによって、焙煎がみえてきました。
この位置は、当時メンバーがアメリカの先進的なスペシャルティコーヒーロースターの情報を得て、メンバーに紹介したことによって、メンバーが共有することが出来ました。
このことは、お互いの焙煎プロファイルを比較検討し、カッピングにおいても比較検証することが可能となり、ロースティングのスキルアップに大いに貢献しました。
(数年後、ローリングスマートロースターが発売されたとき、豆の表面温度センサーの設置位置を見て、やっぱり!、、、、とほくそ笑んだ思い出があります。)
カッピングで焙煎を検証し、それを次回の焙煎にフィードバックして、再びカッピング、、、このとめどない地道な作業において、成果が出てきたのは、まさにセンサーの設置位置がポイントであったと断言してもかまいません。
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