ローストマスターズチャンピオンシップ 2010 Ⅰ

今年もローストマスターズチャンピオンシップ中部地区のメンバーに入った。P10201621

今回で3回目の参加となるこのイベントは、SCAJの本大会のイベント行事として毎年開催される。

各チームが課題の豆を焙煎して、本大会で順位を競う。

前回までは各チームが指定された数種の豆の中から選び、焙煎・配合・エイジングを経て、エスプレッソブレンドをつくりそれを大会会場でバリスタチャンピオンたちが抽出して、カップを争った。

今回は指定のシングルオリジン(今回はルワンダ)を焙煎して、そのテロワールの表現を争う。審査はドブづけの審査員のよるカッピングとコーヒーメーカーで抽出しての一般審査の合計で争われる。

イベント性の重視より、ごく基本に立ち返った内容となった。

僕が参加する中部地区は、毎回なぜか成績がいい,毎回メンバーが集まると、ほぼ雑談がメインになって、それは楽しい会合となり、肝心の本題は後回しになってしまう。

それでも、最終的にはまとめ役のリーダーが仕切って、なぜか事は上手く収まっていく。

しかし、今回は接戦が予想され予断は許されない。

課題のルワンダは難しい豆だし、ドブづけのカッピングとペーパーの抽出は誤魔化しはきかないと思う。

P10201741 気合を入れて、臨みたい。

23日に会場の豆蔵さんにメンバーが集合。

事前にリーダーの杉浦さんが、サンプルローストしたルワンダを各メンバーに配布している。

焙煎機はディードリッヒの12K。

特異な排気・バーナー構造でアメリカの市場で人気は高い。

今回はとにかく数多く焙煎して、カッピングで検証と修正を繰り返す方法以外に無い。

配付量は限られているため、1回の焙煎量が少なければ、その分チャレンジ する回数は増える。焙煎可能な 最低量を探る。オーナーの柴田さんに焙煎を担当していただき、大まかな進行シフトを組んで、それを微妙に変化させ、カッピングで検証する。P10201651

たとえば、投入から1ハゼまでの時間を、それぞれ8分台と9分台、そして1ハゼから終了までの時間を、それぞれ2分台~4分台として、それぞれを組み合わせて、進行シフトをくむ。

シフト表とストップウォッチでメンバーが進行をチェックしていく。

2~3Kgの少量投入量は投入温度とガス圧の加減が難しい。この2つの微妙な差は1ハゼまでのペースを大きく左右する。

1バッチは8分20秒で1ハゼを迎える。

しかし、ここから難問が発生する。

一ハゼから終了までの時間が短くなってしまうのだ。

ガス圧をかなり落としても、勝手に進行してしまい、あっという間に2分以内に終了温度に到達してしまう。

P10201841_2釜の余熱と投入量のバランスが悪いのであろう。

通常、1ハゼから終了までは、目安として、3分前後の時間が必要と思う。

できるだけ高い温度で、時間をかけて豆の進化・ドライディスティレーションさせる。温度が高ければ、進行は早い。進行を緩やかにするには温度を落とさなければならない。

温度と時間は矛盾するが、この矛盾の中に理想のローステイングポイントが隠れているていると思う。

最後の釜は、ぎりぎり最低のガス圧で操作して、3分42秒の時間が取れた。

ケニア・グアテマラで何回か試験焙煎した後、カッピングで検証しながら、課題豆のルワンダは4ロット焙煎した。P10201801_2

検証した結果、今回は大変大きな収穫を得ることができた。

(詳しいシフト表は後日、メンバー全員の承諾を得て、公表いたします。)

*1ハゼまでの時間は、9分台より8分台のほうがクリーンカップであり、9分台は水が抜けすぎているか?ライブ感が出てこない。


*2ハゼから終了までの時間は1分台だと進化が不足しているのか、マウスフィールが“硬い”。2分過ぎから滑らかになってくる。


*3最後のロットは1ハゼから終了までが3分42秒と一番長いが、1ハゼも投入から9分近くかかり、トータル12分39秒になった。水の抜けすぎと、かつ後半のカロリー不足が重なって、長時間焙煎にありがちな、レスクリーンで暗い、印象がかけたカップとなった。

このことから、一ハゼまでを早くもっていき、その高い温度で終了までを2分半くらいもたせることがポイントのようだ。

P10202411_2 次回はこの点をじっくりと検証してみたい。

今ちょうど、彼の地:ルワンダではCOEの本選まっただ中で、カッパーとして参加した札幌の横井珈琲の横井さんからの報告を拝見すると、ぐっと身近に感じてしまう。

本選では、すでに“ポテトフレバー”のロットが出ているとのこと。

隣国のブルンジの、国連グルメプロジェクト豆は素晴らしいロットがたくさんあったが、強烈な“ポテトフレバー”の混入のため、使い難かった経験がある。

このフレバーは昆虫の介在が原因といわれる。改善点が見つかればと、切に思う。

今回も場所を提供していただいた豆蔵さんをはじめ、汗だくになって参加していただいたメンバーの皆さんのご協力に感謝いたします

(中部チームのメンバーは、ボンタインコーヒーの加藤さん・珈琲ぶんかの恒川さん・豆工房の谷口さん・豆蔵の柴田さん・ポンポンの羽田さん・ナチュカフェの杉浦さん・マミーコーヒーの浜川さん・テンカフェの遠藤さん・そして僕山本です。SCAJの各会員は招待券を手持ちとして持っています。まだ残数があれば、お分けいたしますので、お気軽にお尋ねください。)