東京のビッグサイトで、去る9月22日から
24日までの3日間、SCAJのカンファレンス
が開催された。
JBCの準決勝、決勝や生産国セミナー、そ
してローストマスターズチャンピオンシップ
などのイベントも行われ、多くの来場者で、
盛況だった。
従来の業界関係者だけではなく、若い人の
来場も目立ち、あらためてバリスタブーム
の大きさを認識した。
若い人が多いと、会場は活気に包まれ、明
るくなる。
味方塾も、今年もブースを出店し、自前のスペシャルティコーヒーを、お客様に味わっていただい
た。
今回は、メンバーが提出した豆を、朝イチでブラインドでカッピングをして、点数の高いものをえら
び、その日の提供コーヒーを決めた。
本当に"美味しい”!と実感し、お客様が
感動するコーヒーを提供できないと、この
スペシャルティコーヒーの世界では生き
残れない。
最近、このことが実感として、ひしひしと
感じる。
自分の店で、お客様に試飲を提供してい
て最近感じるのは、フレバープロファイル
がしっかりと表現できたコーヒーには、お
客様は本当に驚きをもって、感動を表現
してくれることだ。
「このエチオピアのフレバーはフローラル
といって、花の香りがしますよ。」
僕の説明と、お客様の舌の実感が一致
すると、感動はよりリアルになる。
「あ~ほんとうだ。花の香りだ!凄いコーヒーですね。」
スペシャルティコーヒーの凄いところはここにあり、一定のフレバープロファイルを達成することが
最も重要なポイントとなると思う。
そして勿論、アシディティや甘さやマウスフィール、アフターの余韻などの全ての特徴のバラン
スがとれていることも、必須だ。
しかし、このフレバープロファイルは、焙煎温度や焙煎時間の数秒、コンマ数度違っただけで、
何処かにいってしまったように、隠れてしまう。
こうなってしまうと、お客様の反応も、いまいちさえない。
これでは、どうってないプレミアムと同じだ。
また、フレバープロファイルを達成できたとしても、マウスフィールがざらついたり、アフターが刺
激的で悪い場合、やはりお客様の反応は、すこぶる鈍い。
ごく普通の若いお母さんたちや、年配のおばちゃんたちも、この差をはっきりと認識する。
このように、焙煎が上手くいかなかったコーヒーは誤魔化しがきかない。
スペシャルティコーヒーが恐いのは、実はここにある。
スペシャルティコーヒーの凄さと恐さは紙一重と思う。
また、焙煎技術がクリアーできたとしても、
原材料の調達、確保も、今後大きな問題
となってくる。
今回も多くの生産国や輸出・輸入商社が
ブースを出店して盛況だった。
僕たちがスペシャルティを志して、勉強を
始めた頃、ITCグルメコーヒープロジェクト
の一環として行われた、ブラジルでのコン
ぺティション(COEの初回)第一位のロット
は$2.65/lbという今では考えれない、安
い価格で落札された。
それからわずか10年余りでの落札価格や
入札者数の上昇を見れば、スペシャルティコーヒー市場の急成長ぶりがわかる。
日本の商社やロースターの落札が多くなるが、これを先行指標と見れば、日本のコーヒー消費
市場における、スペシャルティコーヒーのシェアも確実に増大してくと思う。
アメリカの膨大なコーヒー市場は量ベースで全体の4割、価格ベースで全体の2/3がスペシャル
ティコーヒーがしめるといわれ、スペシャルティコーヒーが主役になる時代も、もうすぐだろう。
これは、SCAAがスペシャルティコーヒーの範疇を、“High Commercial Coffee”や“High Qual
ity Coffee”をも含めているためだが、大手のクラフトやネッスル、ファーストフーズのマクドナ
ルドやダンキンドーナツ、流通のウォールマートなどが次々に、こうした高品質コーヒーを取り扱
いだし、スペシャルティコーヒーのシュアを押し上げていると聞く。
また従前のインテリゲンシャやスタンプタ
ウンなどのスペシャルティーコーヒーロ
ースターに加え、中小のロースターもス
ペシャルティコーヒーに特化して業績を
上げていることも、市場を押し上げてい
るという。
こうして、欧米の高品質コーヒー市場(ス
ペシャルティコーヒー市場)が拡大した結
果、世界的にトップスペシャルティは勿論
、裾野の高品質コーヒーの供給可能量
が絶対的に不足する自体になってきて
いる。
短期的には価格の上昇を招くが、品質を
維持しながら、生産を拡大する方策が模
索され、生産量が拡大していくことが望ま
れる。
スペシャルティコーヒーがもたらした、消費国と生産国の連携は、知られざる産地の可能性を見
つけ出し、栽培方法の改良や、生産効率の向上をもたらした。今後の供給量不足の解消は、こ
の連携を持続することの試金石になりそうだ。
アメリカで勃興したコーヒールネッサンスは、消費市場を復興させ、生産国に生産需要をもたらし
、両市場の雇用を創出する。
政治決着であった円高容認後から、じわりじわりと着実に進行した、日本の国内産業の空洞化
は、特に若い世代に犠牲を強いた結果となった。まともな就職先は、限られた者にしかなく、多
くはとりあえずと、腰掛さきを探し、とうざをしのぐ。
そんな状況にあって、この会場に集ま
った多くの若者たちに、希望と自尊をも
たらす仕事を、創出したのもスペシャル
ティコーヒーだ。
エスプレッソとフォームドミルクを合わせ
たラテは、アメリカの若者たちに受け入
れられ、カフェブームに火をつけた。
バリスタはステータスある職業として、
尊敬され、憧れとなった。
JBCの会場で、憧れの選手のシグニチ
ャーのレシピを、一生懸命メモする女の
子が沢山いた。
熱気溢れる、JBCの会場の若者たちに
エールを送りたい。
2010のジャパンバリスタチャンピオンは丸山珈琲の鈴木 樹さんに決定しました。
おめでとうございます。世界大会はコロンビアで、初の産出国開催です
ご健闘をお祈りいたします。