ローストマスターズ本番の9月30日は公務と重なって参加できなかった。
最終ミーテイングのあった20日以降も、公務があり、タイトな時間をぬって、プレゼンテーション用のパワーポイントデータの構成と文面を急いで作り、編集をお願いしていたSコーヒーのTさんに送った。
Tさんも委員のタイトな時間の中で、26日までの提出期日に間に合わせてくださった。
プレンゼンの構成の段階で、今回のお題目のインドについてのカップ評価をどう表現すれば良いか戸惑った。しかし、カッピングの評価はあくまでも事実を客観的に評価し、それにどう対応・善処すべきかに焙煎の意義があるわけで、そもそもそのこと自体がローストマスターズの目的であると思う。
とりわけ、スペシャルティコーヒーの範疇が拡大して、ハイコマーシャル・プレミアムの品質であっても、各種のサスティナブル認証コーヒーであれば、その範疇に含まれる状況になりつつある現状では、焙煎による対応がますます重要になる。
以上の観点から、カッピングの評価と焙煎の対応をそのまま述べることにした。
********************************************
当日は区議会の仕事も手に付かなかった。昼過ぎにリーダーのSさんに連絡をして、準備の状況やプレゼンの進行の確認をしたが、妙にSさんの明るい対応が気になった。雰囲気が良い状況と安堵して、健闘と結果の報告をお願いして仕事に戻った。
その日は彼からの連絡がないまま過ぎた。良い結果ではなかったのだと、勝手に判断して、連絡を取るのも控えた。
そして、翌日のSCAJのサイトを開いてびっくりした。
なんと、Sさんの実弟の大島さんが、午前中に開催されたJCTCでチャンピオンになっているのではないか!
前日の昼過ぎに連絡を取ったときの、彼の妙に明るい対応がここに来て分かったし、僕との結果報告の約束も完全に吹っ飛んでしまっていることが理解できた。
当日の結果もこれまたびっくりする結果だった。
一般審査部門で1位で、招待審査員部門で6位。
やはり深すぎた。カッパー全員の評価がオーバーロースト。カップ評価以前の問題で、ポジテイブな項目をあえて言うならば・・・・といった感じだ。
それが、一般審査で26票も頂いたのはなぜだろうか?飲料としての印象と、カップの評価とはいささか違うという経験が多々あるが、今回もそのパターンだった。
単に深い焙煎で素人受けがよかったと判断してしまえばそれまでだが、店頭で自分のカップ評価とお客様の評価が食い違うこともよくあり、そこにはなにかパターンが有ると感じていた。
パターンを整理すると、1ハゼの終了前の浅煎りとか、2ハゼのピーク以上の深煎りは、水抜けとドライディスティレーションが出来ていれば、お客様の反応は良い。両者ともフレバーの特性が伝わりやすいからだと思う。
その両者の中間域の2ハゼ前後の煎り止めは、フレバーの特性が伝わりにくく、インパクトが薄い。
焙煎をする当事者の我々は、とかくこの無難な領域におさめる傾向があるのは、浅煎りや深煎り領域をキッチリと焙煎することは難しく、いつもネガティブな面ばかりが目立ってしまうからだ。
浅煎りも、深煎りも水抜けが悪かったり、未発達だったりすると、欠点がはっきりと分かり、お客様の反応も悪いから、どうしても無難な領域に逃げてしまうことは、継続した営業を考えると無理もない。
現状はこの有り様だが、何時かはキッチリと浅煎りを仕上げて、お客様を感動させたい!と思いながら、無難な領域で当座をしのいでいるのである。
多くの仲間が、こんな状況から脱却し、積極に浅煎りに取り組むようになったのは、短時間焙煎のノウハウが分かりかけてきた頃からだった。
中型、大型のプロバットに半量を投入すれば、浅煎りを商品ラインのメインにすることが可能となった。
しかし、そうなっても、焙煎の悩みは何時も絶えないのはなぜか・・・
短時間焙煎の限界を悟るより、己の未熟さを悟り、焙煎に精進することでしかないのだろうか・・・
***************************************
数日後に、本部から各チームの焙煎データとカップ評価の一覧がメールで送られてきた。
そこには、自分が感じている以上に、流れの転換が芽生えていた。