季節変化からの解Ⅱ

P1030248_1280x960スタバの問題はさて置き、本題の焙煎に移ります。

年が明けて、忙しさが一段落した1月末ころ、従来通りの焙煎でも、なんとなく重いカップが出てきました。

焙煎もなんとなく、従来より内部温度が高めに進行する傾向が出ていて、気にはなっていましたが、カップでこれほどの結果が出てくることは、どこかに異常があるためで、原因を明らかにしなければいけません。

もしや?と思い、サイクロン内をチェックしたら、ビシリとアカが溜まっていました。

煙突内も、しかりです。

年末年始の忙しさから、焙煎機の煙突の清掃を怠った結果で、慌てて掃除をしました。

ついでに、もう数年もの間、掃除を怠っていた焙煎機本体とサイクロン本体を連結するパイプも掃除して、それぞれの連結箇所のシーリングもチェックしました。

アルミテープによるシーリングはもともと脆弱で、振動やテープの劣化によるシーリング機能の低下は想像以上です。

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以上のように、掃除とシーリングを徹底した結果、排気能力は格段に向上しましたが、こんどは焙煎の進行が後手に回ってしまって、上手く機能しません。

まず最初の洗礼は、従来の投入量、投入温度、ガス圧であっても、どーんと中点が下がってしまします。

慌てて、ガス圧を上げても後手後手にまわって、投入から豆温167℃に至る時間が長引いてしまい、ファーストクラックも8分~8分30秒以降に伸びてしまいます。

なんの対策もせず、手をこまねいていれば、クラックは9分以降にずれ込みます。もちろんクラックの勢いはどこか元気がありません。

その次の洗礼は、ドライディスティレーションの段階でも、従来のガス圧では進行が遅れてしまい、進化不足に陥ってしまいます。

これらの課題をクリヤーするためには、ガス圧を全体的に上げれば良いことに気づきます。排気の能力が上がった分、ガス圧をパワーアップするのが道理です。

しかし、具体的には従来の初期ガス圧90HPから100HPにアップして、結果として従来のペースを取り戻しても、カップは向上するどころか、かえって悪化しました。

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カップからは、水抜けの甘さが出ています。

排気能力の落ちた重いカップから、排気能力が上がった分、カップは軽くなりましたが、暗い印象は改善されません。

むしろアフターがより悪化して、どこか嫌味を感じます。トータルとしての“バランス”が崩れて、まとまりがありません。

どうも解決策はガス圧ではなく、もっと違うところにあるようです。

従来のペースを取り戻すためには、投入量を減らすか、投入温度を上げるしかありません。

どうしたスタバ!

P1030561_1024x768_2昨年の10月下旬、いつもの近所のスーパーで、スタバのリニュアルされた新しいパッケージデザインのハウスブレンドを購入しました。

その時のスーパーの売り場には、前のデザインパッケージもあり、商品リニュアルの移行期間であることが察知できました。

当然、鮮度の高い焙煎を求めて、店員の目を気にしながら、前列にある旧デザインのパッケージを押しのけて、奥にある新しいデザインのパッケージをゲットしました。

いそいそと帰って、すぐにカッピングをしましたが、その結果に愕然としてしまいました。

スタバがスタバたる最大の良さ=アフターのキレが無くなってしまっていたからです。

要は゛スカッとした"アフターがなくなり、こびた苦味・渋みがカップに現れてきます。

過去のブログにも何回も書きましたが、これじゃ並みの焙煎でしかなく、スタバのアイデンティティが失われてしまっています。

要は焙煎のお手本にはできなくなってしましました。残念です。

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そもそも、スタバがスタバたる最大の特徴はアフターのキレにほかなりません。

スタバ特有の押しの強いフレバーや刺激的な味を、飲料として真っ当で魅力あるものに演出しているのはアフターのキレです。

要はバランスであり、アフターのキレの良さが、押しの強いフレバーや刺激的な味を、魅力的で、印象的なものとしているのです。

そのバランスの一端=アフターが崩れると、押しの強いフレバーや刺激的な味がネガティブな印象のカップになってしまうという恐ろしい結果です。

カップから一瞬、素材の品質レベルが落ちたのか?と思いましたが、やはりこのこびたアフターの悪さは焙煎が原因であると、僕は判断します。

多くの日本のロースターが陥ってしまっている生産効率優先の焙煎が、プンプンと臭ってくるのです。

ワンバッチの投入量を多くした結果、もたらされるカップの変化は、まさにこのアフターの歪なカップとして現れるからです。

(ここまでは、カップからの判断ですが、以下はそこから導き出される、私的な憶測の領域にすぎません。)

僕はスタバのマネジメントの変化があったと思います。

この半年以上、あらゆるスタバの商品をカップしましたが、全て同じカップがでました。

共通したカップの背後に、大きな意図を感じるからです。

また、実店舗のラテを飲んでも、その変化が如実にでています。

アフターがちょっと刺激的になって、一般ユーザーにはコーヒーらしくなって、ウケが良いかな?と思うめんもありますが、これはもう往年のスタバのラテではなくなっています。

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話はとんでしましますが、ドリップパックの通販大手のブルックスは、素材がコモディティでも、焙煎技術によってそれを克服していて、スタバがコモディティを焙煎したら、このようになる!といったお手本のような焙煎を見せます。

あたかも、スタバの焙煎ノウハウを熟知しているように、コモデイテイを、そつなく焙煎しているのです。

アフターのキレも申し分ありません。

だからなお一層、スタバの変化を感じるのです。

今一度、もとのスタバに戻っていほしいと、願うのはぼくだけでしょうか?

優秀な人材を抱えるスタバだからこそ、内部でもそう思う人々も多いと思うのです。

内部からの変革を期待します。