友人からの解Ⅱ

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友人のキラキラと輝くカップは衝撃的でした。

そして、冷めれば冷めるほど、その輝きは失わられず、むしろ輝きが増してきます。

ナチュラル特有の甘さ・滑らかさも十分あります。また、フレバーの“ワイニー”も上手く表現されています。

キラキラと輝くカップは、僕のコーヒーにないカップで、改善すべき課題が大きくクローズアップされました。

というより、その頃には、排気能力の向上という突然のアクシデントをきっかけとして、前半の水抜ペースを維持しながら、釜の投入温度を上げて、ガス圧を落とししていけば、水抜けを向上させるというデーターを掴んでいました。

まさに、水抜けが向上して、輝きが出てくる兆候を感じていた頃、彼のコーヒーが神の啓示のごとく、現れたわけです。

彼のコーヒーに導かれるように、さらに、投入温度を上げて、ガス圧を下げていきました。

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当初、ガス圧が90Hpの場合、投入から5分30秒前後に、豆の表面温度が167度になる頃には、釜の内部温度は200℃前後でした。

それを、投入温度を上げ、ガス圧を80HPに下げることによって、従来のペースを維持します。この場合、投入から5分30秒前後に、豆の表面温度が167度になる頃には、釜の内部温度は195℃前後でした。

同じペースでも、釜の内部温度は確実に低くなっているのです。

これはガス圧を下げた分、到達時点の釜の内部温度は下がりましたが、より高い釜の予熱によって進行はキープできた、と推測できます。

このことから、低温焙煎の核心を帰納することが出来ます。

釜の予熱効果は、低い釜の内部温度で、豆の芯から均一に水が抜けていく前半の理想的なペースを維持出来ることです。

具体的には、低い内部温度が、高温短時間焙煎の欠点である、水抜け段階からの表面からのローステイングの進行=いわゆる表面焼けを避け、かつ前半の焙煎ペースを釜の余熱がバックで支えているということです。

これがドラム式の低温焙煎の核心だと思います。

そして純然たる熱風式の場合は、釜の予熱の存在などは吹っ飛んでしまって、圧倒的な熱量が故に、前半の水抜き工程の理想的なペースを、理想的な釜の内部温度帯で達成できることが、熱風式の低温焙煎の核心だと思います。

話をもどし、さらに投入温度を上げて、ガス圧を70hpに下げていきます。従来のペースを維持しながら、釜の内部温度は190℃になっています。

この辺りから、カップが変化しだし、キレの良い明るさが出てきます。

しかし、友人のカップと比較すると、まだ輝きが足りません。

投入温度を上げながら、60hp、50hpとガス圧を下げていきます。

この辺りから、劇的にカップが向上しだします。

50hpでは釜の内部温度が、180℃前後に至っていました。

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投入から5分30秒前後に、豆の表面温度が167℃に至る段階で、当初の釜の内部温度は200℃前後でした。

投入からのペースを維持し、ガス圧を下げながら50hpに至った段階で、釜の内部温度は20℃も低くなりました。

この段階では、ガスの炎は心細いほどに小さくなり、今にも消えそうな状態です。

過去、恩師が提案された、炎を極端にしぼった水抜工程と、今回の消えそうなガス圧と完全に符合するのですが、進行ペースがまったく異なり、ダラダラと進行するのではなく、短時間に進行することが決定的に違います。

それを可能にするのはまさに、釜の予熱であるとお分かりいただけと思います。

当時、ほとんどのメンバーは恩師のメソドを封印して、高温短時間焙煎に移行し、現在に至っていると思うのですが、上手く焙煎できなかった理由の第一点は、低温と言っても、あまりに低すぎて、だらだと、間延びしすぎていた事が原因と思います。

それと、もう一つ上手く焙煎できなかった点は、水の抜けた段階で、一気に釜の内部温度を引き上げようにも、水抜け時点での豆の表面温度や、釜の内部温度が低すぎるため、十分に上がりきれない現象があったことです。

水が抜けた後、ドライディステイレーションの理想的な上昇カーブがあるのですが、そのカーブに登り切れないうちに、焙煎が終了してしまい、魅力のない薄っぺらな味になっていました。

どうしても上手く焙煎できなかった理由はこの二点にあったのです。

“低温焙煎”の低温はあくまでも、水抜段階での釜の内部温度が低めであるということで、後半のディステイレーションでは、もちろん十分な“高温”が必要です。

むしろ、前半の内部温度や豆温が従来より低いため、よりいっそうの高い釜の内部温度を与え、ドライディスティレーションの理想的な上昇カーブまで、素早くもっていくことがポイントとなるわけです。

ですから尋常な焙煎機では絶対に低温焙煎は無理だとご理解できると思います。

必要なときに圧倒的な火力を確保している焙煎機が必要なのです。

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予想したとおり、キラキラと輝きだした、50hpで180度の内部温度の場合、現在の自分の改良型焙煎機をもってしても、適正なドライディステイレーションの上昇カーブに載せることが出来ないという、愕然とした現象が現れました。

内部温度が200℃時は難なく上昇カーブに載せることが出来ました。

そして、190℃前後の場合は、なんとか上昇ペースに載せることが出来たのですが、、、

やっとみえた焙煎の核心を目の前にして、また大きな壁がふさがりました。

次回は、さらなるバーナーの増設という、ハード面での課題をクリアして、適正なドライディステイレーションの上昇カーブを模索していく顛末をご報告します。

友人からの解Ⅰ

P1030651_682x1024徹底した掃除とシーリングの強化で、排気能力が向上して、焙煎環境が劇的に変化してしまいました。

その結果、従来どうりに焙煎しても、焙煎のペースがスローダウンしてしまいます。

この現象に対応して、従来の焙煎のペースを取り戻すためには、ガス圧を上げれば良いと常識的には、判断できます。

しかし残念ながら、ガス圧を従来よりアップして、従来の焙煎ペースを取り戻しても、カップは向上しません。

カップからは水抜き工程がお粗末であることがわかります。

この結果から、前段の水抜き工程は、ガス圧に主導権を与えて進行させると、上手く水抜きができないということが、帰納されてきます。(水抜き過程で、ガス圧の上限があると解釈もできます。)

投入から、一定の豆の表面温度(167℃)に至るまでのペースを変化させて、水抜けの最適なペースを模索する過程では、ガス圧を変化させて、ペースをコントロールするより、むしろ投入温度を変化させてペースを模索する方が、よりベターであるということは、過去の検証からでも、同じ結論がでています。

今回の場合も、ガス圧は従来どうりで、そのかわり投入温度を上げて従来のペースを取り戻したほうが、結果は改善されました。

以上から、焙煎工程前半の水抜き工程では、“釜の予熱”が大きく水抜けに作用しているると帰納できます。

過去、プロバットの古典的機種(鋳物製のL系)が持て囃された理由は、この釜の予熱能力にあると思います。

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さて、話は現在進行形で進んでしまっていますが、約一年前のブログ“季節変化からの解Ⅰ”でお約束した、投入から7分~8分のファーストクラックの変化が、どう水抜けに影響するか?を報告しなければなりません。

結論として、このアプローチはまったくもってナンセンスでありました。

確かに、この時間帯にファーストクラックを持っていけば、そこそこに水は抜け、後半のドライディスティレーションもそこそこに達成できるようになります。

その辺のカラクリは、水抜き工程の温度帯とドライディスティレーションの温度帯との連関の結果から、“手っ取り早くそこそこに結果の出せる焙煎ノウハウ”であるとは確かです。(詳しくは、今後実証しながら説明していきます。)

あくまでも大枠としての焙煎ノウハウで、季節やクロップの変化に対応できるノウハウではありません。

意図的にこの時間帯にファーストクラックをもっていくことは、ガス圧をコントロールすることで、容易に出来ますが、それはある種、強引な手法であって、水抜き工程とドライディスティレーションの微妙な温度連関が見落とされてしまう結果、季節やクロップの変化に対応できなくなってしまいます。

ACEのS氏のブランドに囚われてしまって、スペシャルティコーヒーロースターとしての自覚がなかったことを反省しています。

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P1030659_682x1024話を戻します。

従来の焙煎ペースを取り戻すためには、ガス圧のアップより、投入温度のアップのほうが、水抜き工程において、良い結果がでました。

具体的には、ガス圧は従来のまま90Hpで、投入温度を約3~5℃アップすることで、従来と同じペースが取り戻せ、カップも向上しました。

この結果から、もっと高い温度で投入して、そしてその分ガス圧を落とせば、従来の焙煎ペースを維持でき、カップはもっと向上するのでは?ということが帰納できます。

釜の投入温度を何℃上げ、ガス圧をどのくらい下げるか?

そんなことを模索しているとき、ある常連のお客さんがいそいそと、豆を持参して来店しました。

彼は、ネットサーフィンしながら、気に入った豆を探しだしては、コーヒーを楽しんでいるコーヒーマニアなんですが、ときどき気に入ったコーヒーが見つかると、持参しては僕にコメントを求めて店にやってきます。

他店のコーヒーを持ち込んで、棚卸しを強要するなど、ずいぶんと遠慮のない客だと思いますが、いつもワイワイガヤガヤとコーヒー談議に盛り上がりますーーーー。

で、今回彼が持ってきたコーヒーをみて、思わず「あっ!」と声を上げてしまいました。

もう連絡が途絶えてしまった友人のコーヒーだったからです。

それはブラジルのナチュラルと、グアテマラのマイクロミルのもので、特にブラジルはナチュラルなのに、クリーンでブライトな酸が衝撃でした。

そのブラジルの農園は過去、仲間同士で初めてCOEを落札し、お付き合いが始まった記念すべき農園なのですが、カップから今回のナチュラルの出来は素晴らしいものだと判断できます。

でも、それ以上に、友人の焙煎の進化と、そして苦悩が伝わってきます。

スペシャルティコーヒーを共に学び始めて、共に意気投合して、共に焙煎にのめり込んでいった、友人のコーヒーだからからこそ、カップからその全てが伝わってくるのです。

友人のキラキラと輝くカップから僕のコーヒーの欠点が如実にさらけ出され、僕のアフターのカップから、友人のコーヒーの欠点がさらけ出されます。

そして、それらをどう統合すれば、改善されるかも、直感として暗示されます。

キラキラと輝くカップと、アフターのキレを両立させ、なおかつフレバーや酸、スイートやマウスフィールといったテロワールをどうカップに再現できるか?

今模索している課題は、この暗示とピタリ一致するのです。