いつものように、また脱線してしまいますが、すごくタイムリーな出来事ですので、書き込みます。
このブログの検索フレーズランキングには、時々AGFやスタバ関連のフレーズがよくひっかかってきます。
もちろん、スタバは多くの記事がありますから理解できますが、AGFはどうやら過去の《スターバックスと味の素ジェネラルフーズ(AGF)の戦術》http://seedtocup.cocolog-nifty.com/blog1/2013/07/agf-8f46.htmlによるものと思います。
何となく気になっていた折、最近の検索フレーズランキングに“AGF焙煎”がありました。
焙煎、それもAGFの焙煎ですから、とても気になりそれをクリックすると、検索項目の中に、AGFのサイトで“たくみ焙煎の秘密”というページがありました。http://www.agf.jp/concept/t2acmi/
AGFがいかに焙煎に取り組んで、画期的な焙煎ノウハウを確立したことを、大々的に訴えるなかで、ある焙煎グラフが提示されています。
この焙煎グラフを見て、僕は目が点になりました。
そう!これはまさしく、低温焙煎のグラフ(豆の表面温度)そのものなのです。
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以下、その焙煎グラフを見ていきます。
ここでは通常の、投入温度から下降して、中点(ボトム温度)に至り、上昇していくといった、初期のUカーブは示されていません。
これは我々が投入前にいったん釜を温めて、一定の温度になったら投入するという操作ではなく、効率よく焙煎するために、そういった手順を省略した大手特有の連続焙煎のためと思われます。
便宜的に、原点からグラフは出ていますが、実際は各バッチごとに投入時の温度はまちまちであるはずです、簡略化して分かりやすくするための配慮だと思います。
また、焙煎機が2台設置されていて、一方の焙煎機が焙煎中に、片方の焙煎機はシリンダーを冷却して、いつでも冷却されたシリンダーで焙煎するシステムの可能性もありますが、それは定かではありません。
ここで、最も重要なのは、投入したら火力を上げて、ある時点に至ったら火力を下げて、その後豆の表面温度をゆっくりと上昇させることです。
(釜の余熱を利用して、内部温度を維持するのではなく、投入からの火力で一気に目指す内部温度まで持っていく方法論は、連続した焙煎の環境下で、時間と燃費のコストを大幅にカットします。)
これはおそらく、ある一定の内部温度にまで一気に持っていき、その温度に至ったら、いったん火力を下げ、その内部温度を維持するように、微調整する工程と思われます。(内部温度は表示されていません。)
内部温度を上げずに、豆の表面温度を徐々に上げていくさま(最初の緩やかなカーブ)がグラフに示されています。
この個所には「コクと香りを引き出す。」と説明がありますが、要は水を芯からきちんと抜くことで、素材の持つコクや香りを引き出せる前提を作るという意味に解釈すればよいと思います。
そして、維持した内部温度と上昇してきた豆の温度が近づいてきた時点が、水が抜けた時点で、再び火力を上げて釜の内部温度を上げ、その後豆の表面温度が急激に上昇に転じています。
ここの個所には「香り最大化」とありますが、一気に豆の表面温度を上げて、成分の進化を即す意味があります。
急激に上昇した後、また豆の表面温度のカーブが、ゆるやかなカーブに描かれています。
これは、その後また火力を下げることによって、後半のラスト近辺の温度上昇をゆるやかにしているは、通常の焙煎と変わりありません。
この個所で「雑味をおさえる]とある意味は、もうお分かりいただけると思います。
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このAGFの商品はすでに、近所のスーパーにあったことを思い出しました。
翌日、すぐにこの商品を買い求め、カッピングしました。
残念ながら、期待は外れてしまいました。
まず、素材自体がお粗末すぎて、次第点にいきません。
そして、暗く重たいアフターは、時間が必要以上に長くなった証拠です。
このあたりはカッパ―によって、評価が分かれるところですが、注意しなければなりません。
投入から水抜けまでの初期段階が長くかかると、このような重いカップになりますが、別のグラスに大匙7杯ほどをとって、小さじ2杯程度のグラニュー糖を入れて、カップをとるとはっきりとわかります。
砂糖の甘さが、コーヒーと分離してしまい、渾然一体となった美味しさが出てきません。
しかし、以上の素材とアフターの欠点を除くと、実はスタバのハウスブレンドに瓜二つなのです。
グラインドもグラニュライザーを使った、微粉のない極細挽きで、メッシュまでそっくりです。
カッピングにおいては、ブレイク後のカッピンググラスの上層に上質なエスプレッソのようなクレマができるのも、両者に共通しています。
AGFとスタバの業務提携がどの程度のものかは分かりませんでしたが、今回のAGFの商品である程度の提携内容が憶測できます。
肝心要なところはブラックボックスに入れておいて、スタバ側の販路の拡充のための業務提携のようです。
この手の提携は日米の他の市場分野においても、たとえば軍事や医療・製薬、ソフト関連でまったく同じことが行われています。
要は彼らの本音は優位性を武器に、市場を制覇することにはかなりません。
妥結されたTPPも、今後その実態が明らかになってくると思います。
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そして、昨日また衝撃的なフレーズが引っかかってきました。
“スタバ焙煎”
それを検索すると、http://www.junglecity.com/coffee/starbucks-reserve-roastery-and-tasting-room-opening/がありました。
焙煎工場とティステイングルームの併設の新店舗は小耳にはさんでいましたが、ここまでのものとは思っていませんでした。
サードウェーブの流れに押され気味でしたが、満を持してスタバの反撃が始まったようです。
しかし、素晴しい演出に圧倒されてしまいますが、実際のところ、フラッグシップたるリザーブコーヒーのサードウェーブ流の演出にすぎない、といった冷めた見方もできます。
スペシャルティコーヒーのマイクロロットを丁寧に取り扱う本来のサードウェーブ流の機能は、所詮巨艦ゆえにできない限界を感じるからです。
アジアでの1号店は、もちろん日本でオープンだそうで、今後の展開が楽しみです。
しかし、スコラーリでの焙煎がスタバのアイデンティティみたいなものなのに、なぜプロバットを前面に出しているのだろう?