焙煎日記 カルモコーヒーが名古屋に来ました。

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去る11月15日、ワタル名古屋支社でカルモコーヒーのルイス・パウロ氏の講演とカルモコーヒーのサンプリングが開催されました。

カルモコーヒー社のプロフィールの説明の後、25ロットのカッピングを行いました。

その内容はウォッシュド、ハニー(イエロー・レッド・ブラック)、ナチュラルと豊富で、カルモコーヒーの積極的な取り組みに圧倒されました。中でも、ナチュラル・ファーメンテドとハイドロハニーは新しい精製方法で、過去では禁じ手の処理方法も積極的に取り入れられていることが、とても興味を持ちました。

また、参加者の中には旧知の懐かしいSCAJのメンバーもいて、ローストマスターズの思い出話に盛り上がりました。

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1999年にジョージ・ハウエル氏の提案で開催されたブラジルのカッピングコンペティションは、翌年の2000年には正式にブラジルCOEとして開催されます。

2002年・カルモデミナス地区の隣村のクリスティーナのアグアリンパ農園がチャンピオンなったときには、カルモデミナス地区の多くの農園もCOEの称号を獲得します。

圧巻は2005年のCOEには、この地区の農園が1・2・3位を独占したことです。

(当時僕たちー味方塾ーは、共同してサマンバイア農園(2001)、アグアリンパ農園(2002)、セハドボネ農園(2003)、レクレイヨ農園(2004)、シティオサンジョゼ農園・アグアリンパ農園(2005)エスペランサ農園(2006)、、、を落札しました。)

こうした実績を伴って、当時のメンバーであった丸山氏(丸山珈琲)が中心となって交渉が始まり、カルモデミナス地区の主だった農園との取引が始まりました。

イピ・セルトン・セラード・サンタヘレナ・シティオダトーレ・アグアリンパ、、、この地区の素晴らしいコーヒーを入手できる現実が夢のようでした。

勿論、COE物と通常の取引物の差はありますが、通常物の中にも甘さ・滑らかさ・フレバー・クリーンといった各項目に秀でたコーヒーが多く、特にイピ農園やセルトン農園の甘さと滑らかさ、フレバーの明確な特異性が気に入っていました。

そして、今回そのイピ農園がパウロ氏のお母さんとその妹さんの農園であったことや、セルトン農園も関与しているということ、そしてカルモコーヒーの共同経営者ジャッケス氏はサンタヘレナ農園の農園主であったことを思い出して、過去と現在が偶然にもこの場所でつなり、どこか縁があるようで親しみをを感じました。

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久しぶりのカッピングセッションは、相変わらず僕の性格を露呈して、集中できませんでした。

周りのことが気になり、目の前のカップに集中できないことは昔と少しも変わっておらず、終盤近くになって周囲になれ集中できる始末でした。

そのころにはカップの液体も冷めて、フレバーの特性を把握しずらくなってきていましたが、スイートやマウスフィールを判定するにはちょうど良い温度帯でした。

しかし、刺激的なアフターは最初から最後まであり、液体が舌になじまず、スイートやマウスフィールの実相を把握することが出来ませんでした。

このことは、低温焙煎のカップになれてしまうと、通常の高温短時間焙煎のカップに違和感を感じてしまうようです。

最近のスタバも以前よりアフターがどこか刺激的で、違和感を感じていますが、それと同じ次元であると思います。(経営効率による1バッチ当たりの投入量の増量が原因か?、、このことに関してはもう少し判断が必要で、改めて考察したいと思います。)

高温短時間焙煎は風味特性を端的に表現でき、カッピング評価の焙煎には適していますが、それはあくまでもフレバーを中心とした風味特性においてであり、マウスフィール、スイート、アフター、そしてトータルとしてのバランス、オーバラルは低温焙煎が適していると思います。

恩師にご指導をいただいたときは、低温焙煎でサンプルローストしました。

焙煎工程を明確に2段階に分け、前半は火力を抑えて水を抜いていき、水が抜けた時点で一気に火力を上げて、後半の成分進化を即す焙煎です。

これを13分~15分前後で完了しました。この点では高温短時間焙煎も低温焙煎も差がないと思います。

このことから、投入からの水が抜けていく過程における、火力の差(釜の内部温度差)がアフターの差となって表れてくることが推察できます。

現在ACEの焙煎ノウハウはわかりませんが、過去にポール・ソンガー氏のプロバットのサンプリングロースターによるデモンストレーション(ワタル本社において)は高温短時間焙煎で、今回のワタルの焙煎もこれを継承していると思われます。

この高温短時間焙煎のアフターの歪さは、慣れてしまうと気にならなくなり、注意しなければならない点です。

サンプル用の焙煎も本焙煎も高温短時間焙煎であれば、もはやアフターの歪さは感じえない状態になってしまうでしょう。

ましてや、他のサンプルや他店の商品も高温短時間焙煎ばかりなので、いつも高温短時間焙煎の環境に舌は慣れ親しんでしまいます。

しかし、常に低温焙煎に慣れ親しんでいると、高温短時間焙煎のアフターの欠点が如実に分かってしまうわけです。

このことは高温短時間焙煎の豆と、低温焙煎の豆をエスプレッソマシーンで抽出すると、驚くほどのカップの差となって分ります。

エスプレッソマシーンでは高温短時間焙煎のアフターの刺激は端的にカップに現れてしまいます。

これを従来はとかく、マシーンの操作性(過抽出)に原因を求めていましたが、そうではなく、焙煎が主因であることは、エスプレッソマシーンで低温焙煎の豆を抽出すれば、如実に証明されます。

素材のコーヒーそのものの差ではなく、焙煎の違いで、カップの差が出てくるということも認識しておく必要があると、今回は痛感しました。

 

焙煎日記 第三回 サンプリングクラブ Ⅱ

多くの方が第三回サンプリングクラブにご参加くださいました。有難うございます。

また、コメントもたくさん多くいただきました。
以下、その要点をまとめてみます。

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●ⒶとⒷの比較の差を感じ取っていただくのは、かなり高度であったと思います。
ただ、液体の温度帯が冷めてきたり、抽出方法の差からその差を認知していただけたと思い
ます。

要点は、水抜き工程の時間が長くなると、必要以上に水を抜きすぎることになり、そのこと
が結果として、成分のオイル分が微妙に損失するようです。

今回の場合、Ⓑは14分焙煎のプロセスを利用して、水抜き工程を1分延長しても、全行程は15分
に収まるようにしました。

これは、15分を過ぎた焙煎は別の要因が出てきて、水拭きの延長がもたらすカップの差をダイ
レクトに把握できないからです。

ⒶとⒷが同じ15分であることで、水抜きを必要以上にする欠点を把握できます。

ぼくを含めて多くの方は、Ⓐの水抜き工程をただ延長して、Ⓑを16分近くまで焙煎してⒶ・Ⓑを
比較してみますが、16分焙煎の別の要因(繊維質のビター)があって、冷静に判断できなかった
と思います。

今回のⒷは熱いうちはフレバーの差を感知できますが、アフターの微妙なを感知することはある
程度の経験が必要と思います。

さめてくると、スイートとかマウスフィールの差を感知でき、ざらつきと滑らかさの差がⒷとⒶの
アフターの差となって現れてきます。

必要以上の水抜きを避けるためには、投入から豆の表面温度進行を管理して、どのポイントで
水が抜けるかを把握しておくことが大切です。

水抜けは、サンプルスプーンで豆の熱気を鼻で感知しますが、この作業でのポイントは匂い
ではなく、立ち上ってくる熱気の中に蒸気を感じるとることがポイントです。

水が抜けるポイントに近づくと、熱気の中に蒸気を感じなくなります
このポイントが水抜けのサインです。

動作からよく誤解をされますが、匂いから水抜けを感知することはとても難しいと思います。

●ブラジルの場合は、多くの方が実感して頂けたようです。
 14分のものと15分のものを比較カップすることで、より鮮明にその差を感じることが出来、
 14分のカップが自分の焙煎とよく似ていることを、多くの方が報告くださいました。

 なぜ15分か?は僕も分かりませんが、飲料としてのバランスという捉え方から、15分の
 加熱時間が適しているということかもしれません。