焙煎日記 ロースティングポイントを探すⅢ
2018/06/02
ブログの更新が遅れて申し訳ございませんでした。
この2カ月余りは、これまで提案してきた15分焙煎の検証に没頭していました。
この焙煎コンセプトそのものは長い間、温めてきたものですが、ロジックの正当性を
検証するためには、やはり膨大なカッピングによる検証が必要です。
その結果、15分焙煎の正当性を確信することが出来ました。
思いつくまま突っ走って、突如、短時間焙煎を変更して、全く新しい焙煎コンセプトを
提案しましたが、読者の方に戸惑いを与えてしまい、多くのご質問をいただいていました。
今後このブログ上でお答えさせていただきます。
とりあえず、前回からのテーマ“ロースティングポイントを探す”の書きかけていたものを
アップします。
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今年は3月下旬から季節が急激に変化して、一日の最高気温が20℃を超えてしまう
日々が続きました。
同じ豆の表面温度・時間の釜出しでも、焙煎度が少し浅くなり、驚きました。
これは、去年の急激に寒くなった時期に、焙煎がにわかに深くなった記憶と一致します。
季節が徐々に変化している通常の場合は、何気なくとおり過ぎてしまう現象ですが、
去年から今年にかけて、この現象を改めて、はっきりと確認できるエポックイヤーでした。
こうした季節変化にどう対応したらよいか?は、前回までのロースティングポイント
の検証結果から、おのずと対応策が出てきます。
浅くなったのだから、あと数十秒焙煎を延長して深くする方策をとるのが、通常の焙煎
ノウハウです。
しかし、これではレスクリーンの領域に入って、アウト!になってしまいます。
焙煎が迷路のように分からなくなってしまう原因がここにあるわけで、このクリーン
とレスクリーンのサイクルが分ってくると、時間の延長ではなく、同じ時間軸上の
温度シフトで解決することがベストであることが分ります。
Bの⓶がベストなロースティングポイントであれば、季節変動で浅くなった分を
B線上の15分30秒・204℃の点近くまで延ばしていけば、取り返すことが出来ますが、
安易な時間延長はレスクリーンの領域(横のライン)に入ってしまいます。
これを避けるためには、15分のクリーンの領域(縦のライン)上をシフトして、
⓶から⓸にもっていけば、クリーンの領域で深くすることが出来ます。
しかし、⓶と⓸を厳密にカッピングをすると、⓸のほうがややフラットでストラクチャ
にかけ、甘さや滑らかさの表現がスポイルされてきます。
それはロースティングポイントは、1分間のレスクリーン・クリーンのサイクルに加え、
1分に5℃上昇という厄介な温度サイクルがあるためです。
この温度上昇サイクルは、水が抜けて釜の内部温度を上げてから、2分15秒で192℃前後に
至ってから、1分ごと5℃上昇させれば、適正な成分進化がなされるサイクルで、焙煎
の不文律のようなものです。
⓶から⓸にもっていく温度は、カップから202℃から203℃前後の1度前後上昇が限界の
ようです。
同様に、冬の場合の深くなってしまうパターンは下に、202℃から201℃前後にシフトします。
(⓶~⓹)
このサイクルがどこから始まっているか?という詳しい検証が出来れば、最初の温度を
高く設定して、5℃上昇をしながら目的の温度に至らしめることが出来ます。
今後の課題です。