おいしい珈琲の入れ方
このページでは、おいしい珈琲の入れ方のメソッドを紹介致します。
器具の種類に合わせてた入れ方を紹介していますので、どうぞご覧ください。
金属フィルターによるドリップメソド
金属フィルターは、今人気のコレスのゴールドフィルターです。
●付属品のホルダーにゴールドフィルターをセットして、サーバーにセットします。
●サーバーはお湯を入れて暖めておきます。
●計量したコーヒーの粉を入れます。
今回は2人分で18gを中挽きでセットしました。
(金属フィルターはペーパーフィルターに比べ、抽出速度が速いため、挽き具合を細かくして、速度を調節すると過抽出となり、失敗します。多少荒目に挽いたほうが良い結果となります。)

●十分に沸騰させたお湯を、別のドリップ用ポットに移し変えます。入れるお湯の量は目的とする抽出液の量より倍以上の量を入れます。
(こうすることによって、ドリップ用ポットのお湯の温度は92~3℃前後に落ち着きます。)
また、お湯の量を多めに入れるのは、抽出の途中でポット内の温度が極端に下がってしまうことを防ぐためです。
以上が抽出における最大のポイントで、以降の抽出の温度展開がほぼ決定されます。
季節・室温の変化+ポットの材質等で、温度が変化しますので注意してください。冬季はドリップ用ポットを温めておくと温度が安定します。
家庭で何度トライしても、お店で飲んだような感動が再現できないのは、多くの場合ここに原因があります。
お店ではたえず大量のお湯を沸かしていて、注文ごとにドリップ用のポットに入れて抽出するパターンになっていますが、家庭では抽出のためにお湯を沸かして、いきなりそれで抽出してしまうことが多いからです。
コレスの解説書でも“お湯をしっかり沸騰させます”とありますが、これはこれで正しいのですが、以降の温度展開が全く配慮されていない記述で、誤解を招きます。おそらく高温短時間抽出を意図した記述であると思いますが、いきなり抽出してしまうと、ドリップ内の温度が90℃以上に上昇して、刺激的な成分がでてきてしまいます。)

●ドリップを始めます。最初はごく細く、丁寧に粉全体にお湯が染み渡るように注いでいきます。
(染み渡ったら通常は“蒸らし”の工程を入れますが、そのまま細い湯を注ぎ続けたほうがよいと思います。細く注げない場合は、蒸らしの工程を入れます。)
●やがて、濃厚な抽出液が落ち始めます。このタイミングで、徐々に注ぐ量を増やしていきます。(最初の注ぎ方が荒いと、お湯が粉を素通りして、薄い抽出液が出てきます。また慎重になりすぎると、抽出が遅れて、低い温度での抽出になってしまいます。)

●引き続き、抽出温度が急上昇しないように、注ぐお湯の量を増やしていきます。
(ドリッパーの中に温度計を入れて、内部温度を確認しながら注ぐ量を調整してみましょう。
温度の上限を85℃前後に抑え、この温度帯になったら、抽出を控え、上昇を抑えます。そして様子を見ながら、少しずつお湯を注いでいきます。
警戒しすぎて、お湯を注ぐのを躊躇していると、抽出中のコーヒーの粉が露出してしまったり、内部温度が下がってしまうことがありますから、注意が必要です。
85℃前後を維持して抽出を続けていると、ドリップ用のポット内のお湯の温度が下がってきますから、ドリッパーの内部温度も84℃⇒83℃と下がり始めます。
そして、抽出が完了する頃、内部温度は81℃~82℃に下がっています。
以上の過程をとれば、甘さとなめらかさに包まれた香り高いコーヒーが出来上がりです。金属フィルターで抽出することで、オイル分が多く抽出され、スペシャルティコーヒーの素晴らしさが再現されます。)

●最初からお湯を勢いよく注ぎ続けると、抽出温度が上昇しすぎて、88℃前後になります。注ぐ量も多いため、比較的短時間で抽出が終了します。通常より高温でかつ、短時間で抽出されます。これを“高温短時間抽出”と言って、金属フィルターの抽出方法のような風潮になっていますが、見当違いです。
(この88度前後の温度帯は、強調されたフレバーや刺激的なアフターが切れのよい印象をつくり、よさげにみえますが、滑らかさとか甘さが十分に抽出されず、スペシャルティコーヒーとしては失格です。
わずか3℃違うだけですが、オイル分を十分に抽出する金属フィルターのよさが生かされない抽出になってしまいます。)

●最初に沸騰したお湯を、ドリップポットに入れて、ポット内のお湯の温度を92~93℃に落ちつかせても、注ぎ方次第で、内部温度が88℃以上になってしまい、上記のような甘さとなめらかさが欠如したカップになってしまいましたが、沸騰したお湯を無造作に、そのまま注ぐと、ドリッパーの内部温度はさらに高く、91℃近く上昇してしまいます。
この場合、刺激的な成分が抽出され、なおかつ甘さやなめらかさも抽出されないため、飲むに堪えられないカップになります。
この温度調整の失敗は、コーヒープレスでも顕著であり、金属フィルターの真価が誤解されてきた原因であります。
その真価を現してしてくれるのは、まさに抽出の温度管理だったのです。

馥郁とした素晴らしいスペシャルティコーヒーの出来上がりです!
金属フィルターがもたらすなめらかなオイル分、甘さに包まれた爽やかな酸、口から鼻に抜けていく魅惑的で持続するフレバー、そして心地よくフィニッシュするアフター、、、、
思う存分、ご堪能ください!
(ペーパーフィルターもほぼこれに準じていただければ、正確な抽出が出来ます。
この一連の流れを習得することで、ほぼ平均値83℃の安定したドリップが可能になります。
ドリップ競技などにも応用してみてください。)

コーヒープレスの抽出メソド
コーヒープレスはコーヒーの粉を入れて、お湯を注ぐだけという手軽で簡単な抽出器具ですが、その手軽さが落とし穴で、実は美味しく淹れるのがなかなか難しい器具でもあります。
コーヒープレスを美味しく淹れるには、前回同様、プレスの内部温度を平均83℃にするように、お湯の温度管理と注ぎ方を工夫し、3~4分で抽出を完了するようにすればOKです。
しかし、コーヒープレスの場合、このピンポイントの83℃~85℃にもっていくには実に細かい配慮が必要になります。
お茶の作法のように、決まりをきちんと守ることが成功への近道です。

●中・荒挽きにしたコーヒーの粉をプレス本体に入れます。
(プレス本体は必ずお湯を張って、暖めておきます。お湯が沸騰して、抽出の準備が出来たら、張ったお湯を捨てて、コーヒーの粉を入れます。。
お湯を張って温めた後、コーヒーの粉を入れて準備OK、、、、でも、まだお湯が沸いていなかった!というように、手順がきちんとできていないと、抽出温度がくるってきますので、要注意です。
16g~18gのコーヒーの粉に対し300mlのお湯が標準です。)

●十分に沸騰しているお湯をドリップポットに移し変えます。
(ドリップポットもあらかじめお湯を入れて、温めておきましょう。こうすることで、ポット内の温度は95~94℃に落ち着きます。前回のコレスのドリップより2℃高くなります。
先ほどのプレス本体を暖めておくことで、このポットの95~94℃のお湯を注げば、抽出温度が84℃前後に落ち着くことになります。
プレス本体がさめている場合、抽出温度は82度前後に、また、プレス本体が温まっていても、ポットのお湯が92度に下がってしまっている場合も抽出温度は82度以下になります。共に抽出不足で、フレバーの立ち上がりが欠け、甘さや滑らかさが抽出されません。)

●冷めないうちに、すぐにお湯を注ぎ入れ、プレスの半量くらいになったら、注湯を中止します。
●このファーストドリップで味がほぼ決定されます。成功するためには、ちょっとしたコツが必要です。
(プレス本体も持って、やや斜めに傾けて、粉の状態を上から見やすくします。
注ぐお湯の勢いは、前回のドリップの時よりもやや太く、勢いよく注ぎ込みます。一点に集中するのではなく、粉全体にグルグルとまわしかけていきます。
コツは、プレスを持つ手は腕を固定して、手首をくねくねと回し、ポットを持つ手は手首を固定して、注湯の太さを一定の勢いにするために、腕全体を上下に回します。
このことで、一定の勢いでお湯が粉全体に、注ぎ込まれることが可能になります)

(粉全体にお湯がしっかりと注ぎ込まれると、右の様に上からクレマ・コーヒーの粉・抽出液と、3層になっています。抽出液の上にお湯がしみ込んだ粉が浮き、その上にクレマが浮かんでいます。粉全体にお湯がいきわたり、抽出がきちんと進行している状態です。
時間が少し経過すると、抽出が進行して、お湯がしみ込んだ粉から、なおクレマが出てきて境界がやや分かりにくくなってきます。
粉全体にお湯が注ぎ込まれない場合、抽出ムラが出来て、左下のように未抽出の粉がクレマの中に浮遊してしまいます。見たように抽出液とクレマの2層だけになり、粉がお湯と接することができないため、抽出が不完全になってしまいます。
お湯を注ぐ技量で、一瞬にして出来・不出来が決まってしまうのは、どこかエスプレッソと通じるものがあります。)

●注湯を止めて、30秒ほど待ち、残りのお湯を注ぎます。
(さらに粉全体にお湯がしみ込むと、可溶成分が下の抽出液に溶け出し、組織内のガスを放出します。ちょうどドリップでお湯を注ぐと、可溶成分が溶け出して、底から抽出液が落ちて、上にはガスが泡となって上がってくる原理と同じです。
半量で抽湯を止めるのは、上記のように抽出を精緻にするためと、もう一つ重要な要素として、プレス内の抽出温度を急上昇させないことがあります。
ドリップポットのお湯を94度に落としても、全量を一気に注ぐと、抽出温度は87~88℃前後にまで上昇してしまいます。
この温度帯はやはり甘さや滑らかさが出にくく、刺激的なのに平坦なカップになります。
注湯すると、内部温度の抽出温度は一気に駆け上がりますが、半量で止めることによって、85℃前後の手前で急ブレーキがかかり、その温度帯で安定し、抽出が進行します。
サイフォンでお湯の上昇を途中で止めるのも、上記の理屈からです。
抽出開始から3~4分たったら、プランジャーを静かに押し下げて、コーヒーをカップに注ぎます。
